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“目にものが入った”をどう伝える?

T&Aマイナーエマージェンシーコースでは、眼科領域の内容の一つとして、眼にものが入ったときの対応についてを扱っています。
 
その中でちょっとしたコミュニケーションのコツ(落とし穴?)を紹介しています。
 
それは、“目にものが入った”という状況を上手く眼科の先生に伝えるには、“眼内異物”と“眼表面異物”と“眼窩内異物”という言葉ををきちんと区別して使おう!ということです。
 
一見すると、どれも同じような意味に感じますが、それぞれをきちんと使い分ける必要があります。
 
まず、“眼内異物”というと、私たちがよく遭遇する、“目にものが入った”を指しているような気がしますが、
眼科の世界において、眼内とは、眼(球)内を指しており
眼内異物と言うと、下の図のような状況をイメージしてしまいます。

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眼科の先生にこんな状況を伝えたい、という場面はきっと少ないのではないかと思います。(そうであってほしいです…)
 

夜間当直中、眼科の先生に“目にものが入った”のつもりで「眼内異物が来ました〜」と相談したら、「じゃあ、すぐ行きますので眼球CTを撮っておいてください。」と言われた経験はないでしょうか?

もしあるとすれば、それは上記のような眼球内異物を想定されているからなのです。
(そこを間違えて伝えてしまうと、眼科の先生が病院に着いて、あれ?ということにもなりかねませんね。)
 
それでは、“目にものが入った”というのは、どのように表現すれば良いのかと言うと、
大雑把な表現では眼表面異物です。
“眼表面異物”は、さらに部位によって結膜異物角膜異物に分けられます。
注:結膜はいわゆる白目で、角膜はいわゆる黒目のことです。
(結膜異物と角膜異物では少し対応の仕方が異なりますが、ここから先はT&Aマイナーエマージェンシーコースか教科書をご参照ください。)
 
すなわち、眼科の先生に“目にものが入った”を伝えるには、“眼表面異物”という表現を使うべきで、もし、より具体的な位置が特定できる場合は、角膜異物や結膜異物というように説明できるとなお良いと思います。
万が一、眼表面を突き破り、眼球内まで異物が入ってしまっている場合は眼内異物と表現してください。
 
 
一方、“眼窩内異物”という表現は何を指すのでしょうか?
 
眼窩とは、簡単に言えば、眼球の入っている骨のくぼみのことですが、
下の図を見てもらえると一目瞭然で、このくぼみは、眼球の後ろの視神経や外眼筋、脂肪組織が多くを占めています。

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つまり、眼窩内異物と言うと、眼球よりも奥に異物があるイメージとなります。
こんなところに異物があるとすれば、それを取るには手術が必要になり、対応や考えるべきことが変わってきますね。
 
ですので、
眼科の先生に相談するときには、これらの言葉をきちんと使い分けて、コミュニケーションエラーを減らすように努めるようにしましょう。
 
 
この話は、京都大学医学教育推進センター/京都府立医科大学眼科学教室の加藤浩晃先生に教えていただきました。